クレペリン検査は作業量の変化の仕方から、能力や性格、行動特徴を測定する
現在日本において学校や企業で広く実施されている適性検査の一つに ドイツと日本で開発されたクレペリン検査があります。
この検査の正式名称は『内田クレペリン精神検査』といいます。
ドイツの精神医学者であるエミール・クレペリンが発見した作業曲線をもとに、日本の心理学者である内田勇三郎氏が開発した適性検査です。
この検査は導入されてからすでに50年以上の歴史があり、今までに延べ5000万人の人が受検したといわれております。現在でも年間100万人以上の人が受検しています。
この検査では、本来2つ以上の検査を行うことにより測定していた以下の2つのことを一つの検査で測定できるのが大きな特徴です。
「人が作業するときの能力」「能力を発揮するときの特徴」
実際の作業過程から人の潜在的なタスク・パフォーマンスを測定するというユニークな検査であり、シンプルで普遍的な適性検査であるといえます。
検査方法は、受検者が1桁の足し算を1分毎に行を変えながら、5分の休憩をはさんで前半後半各15分、合計30分間行います。
全体の作業量と1分毎の作業量の変化の仕方から、能力や性格、行動特徴を測定していきます。一般的な適性検査のような問題や設問はなく、受検者は足し算を連続して行うだけです。
判定は次のような考え方で行います。
健康で性格面・適性面ともに偏りの少ない人に現われる曲線を「定型曲線」とし、その定型曲線を基準として用います。受験者の曲線と比較して、類似度やズレから性格や適性を測るというものです。
このクレペリン検査は判定方法が広く知られているため、受検者が意図的に作業を調整することも可能になりますので、検査結果の有効性に疑問の声があがっています。
また、受検者によっては同じ思考回転を長時間持続するので相当の負担を感じると言われています。